「建築家とつくる」を叶える

建杜

私はインテリアの仕事をしています。その私が住環境汚染の研究をするようになったのはもう随分昔のことですが・・・

お客様とカーテン・家具の打合せをしていた時のことです。機能的・色彩的には、などと話をしていると、お客様からストップがかかりました。「実は、この娘、ぜん息なんです。この娘に優しいインテリアを考えてちょうだい。」　私はこの言葉に、とてもショックを受けたのを覚えています。今考えると当たり前ですが、その方にとって一番大切なのは、子供の健康だったという事です。

それまで、インテリアというものは、デザイン一番と考えていたのですが、その前に"人に対して優しくある"という最低条件があったわけです。

その時をきっかけに「人に優しいインテリアとは何ぞや？」を研究してまいりました。シックハウスの原因、ホルムアルデヒドなどの化学物質・ハウスダスト・ダニ・カビなどの問題。どれ一つ取っても、非常に奥の深いものばかりです。　自分に何ができるかと考えた時、住環境の情報ステーションになる事でした。それは、人に優しい材料として、木や紙や土などの生きている素材・炭・無公害塗料・エコカーペットなど、実物を見て知ってもらう事です。

そういう事の積み重ねが、人に優しい住まいづくりに近づいていくのではないかと思います。

（株）ティック代表取締役　尾澤裕